けして高品質とは言えないウインナーは真新しい丸木串に突き刺さり、


ほとんど砂糖抜きのホットケーキに近い生地は少し悪くなった油でもって


均一な黄金色に揚げられていた。


 


揚がってから誰かが買うまでのあいだ、ハロゲンランプに照らされ


じっと待っている。はっきりといと言うと油が劣化しているわけだ。


 


ふつう、油揚げ食品ならば、この状態は品質の低下を意味するのだが、


ことアメリカンドッグ。そう、アメリカンドッグに関しては、これら通常は


不都合とされる条件により、衣のサクサク感や生地のモッチリ感


そして何より独特の風味を倍化させ、結果それこそが商品の魅力となるわけだ。


 


ここで俺は思う。


人生に措いて、たとえ自分が良くない素材であり


劣悪な環境に在ったとしても、以上でいうところの温度環境


 


つまり「温もり」に相当するものさえあれば、


人はそれをバネにして内側から己の魅力を引き出し


その結果をもって、自分に他人を惹き付けさせるための要素としうる。


これはそういう実例なのではないだろうか。


 


我々がアメリカンドッグに学ぶことは多い。